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2014.10.28 (Tue)

転機。

「回り始めた歯車」の続き。


まおの小学校生活もあと半年となった頃、心臓手術のための精密検査を受ける順番が回ってきました。
とは言え、手術をすること自体は決まっているのです。
検査を受けることで、一歩進む。
もやもや病と違って、心房中隔欠損症は手術で治すことができるのです。しかも、カテーテル手術という負担の少ない画期的な方法で!

まおはこの頃になると、クラスのお友達にも恵まれて毎日楽しそうでした。言いつけを守らなかったりのろま番長で、雷を落とすことも日々ありましたが、怒られてもすぐにケロッとした顔で楽しいお喋りを始めるまお。まおの明るさが、私たちの励みでした。
検査入院には、一応中学受験のための勉強道具も持ち込みました。
「空いてる時間には、勉強しなあかんでー」
「うん、わかった~」
……その顔は、する気ないやろ~
苦笑いをする私たちを尻目に、早くも同室になった人たちと仲良くなってお喋りをし始めるまおを見ながら、本当にここまでよく頑張ったあとひと息やからね、と、心の中で声をかけずにはいられませんでした。

泊りがけの精密検査を終え、検査結果を聞きに行く日、私は手術から受験までのスケジュールを丹念に逆算して計算をしました。
受付をしてから呼ばれるまで、待合の廊下で随分待たされるのは慣れっこでしたが、その日の国立循環器病センターはやけにすいていたように記憶しています。

診察室に入った私たちを見つめ、担当医はとてもゆっくりと言いました。

「心臓の穴がね。カテーテルでパッチを入れる手術では出来ない位置にあることがわかったんです。
カテーテルでは無理ですね。…開胸手術になります。」

主人も私も、言葉を見つけることが出来ませんでした。
まおは診察椅子に座ったまま、黙っている私の顔を見上げました。

「先生。。。カテーテルで出来るって、おっしゃいましたよね。。」

ようやく出た言葉は、担当医を責めるような言葉でした。

「うん…穴自体はそれほど大きくなかったんですけどね。穴の位置が心臓の壁2面の狭間に開いてたので、それではパッチで挟めないんです。
パッチの挟みしろが無いんでね」

私はもう、言葉が出て来ませんでした。開胸手術が嫌だからこんなに待ったのに。
カテーテル手術が国の認定を受けるまで、待ち続けたのに。

「傷が…傷が付くのが嫌なんです。だからカテーテル手術にこだわったんです」

「わかってます、それは私もわかってます」
担当医の先生にも、何度も話したことでした。先生もどれほど私に話しにくかったでしょうか。
「手術跡も、今はかなり綺麗になります。わからないぐらいになります。それに、手術跡はまおちゃんが頑張って手術に耐えた勲章ですよ。」
「手術はいつ頃お考えですか」

「考えさせて下さい。。。もやもや病のこともあるし、中学受験もさせるので、タイミングが…」

「そうですか…。ではまた、改めて来てもらえますか。」

帰りの車の中、後部座席に座った私は瞬きもしないのに文字通り涙がボロボロとこぼれてきました。
しゃくり上げるでもなく、鼻をすするでもなく、運転席の主人にも助手席のまおにも気づかれることなく、私はただただ涙を落としました。

開胸手術になれば、身体にはかなりの負担がかかります。何よりも、もやもや病で一番気がかりなのは麻酔でした。麻酔の管理がうまくいかなければ、血液の中の二酸化炭素が減り、そこから発作につながります。
そして、同じように心臓手術を受けた自分自身の胸の手術痕。
スクール水着や少しでも襟のあいた服を着ればその痕が見え、それを気にするあまり卑屈になっていた自分。からかわれたりいじめられたりした子供時代を経て、大人になってからもずっと、服を選ぶ基準はそこにありました。
不自由で、バカバカしいと思うのに、その羞恥は永遠に私を捉え続けるのです。
そんな思いをまおにさせるのが嫌で、カテーテル手術を今日まで糧にしていたのに。


結果的に、心臓手術はその日から半年以上も後になりました。

中学受験を経て、山の上に建つ小さな女子校に通うようになったまお。
大きなカバンを持ち、大きめの制服に身を包んだまおを見送るたび、このまま時が静かに過ぎて行ってくれたらいいのに、と思うばかりでした。

続きます。




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17:08  |  もやもや病。  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

*Comment

頑張ってるご家族の姿に私も頑張ろうって思います。もやもやですが、日々大切に生きていきたいと思います。
はるか |  2014.11.04(火) 19:49 |  URL |  【コメント編集】

■はるかさんへ

コメントありがとうございます。
日々を大切に生きるって、とても大切なことですね。
寒くなってきましたが、水分を忘れず摂取して、元気に冬を乗り切って下さいね。
あん |  2014.11.06(木) 12:04 |  URL |  【コメント編集】

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