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2013.06.28 (Fri)

「嫌や!」

平成14年12月。

それまで2度も延期になっていたまお(仮名)の手術は、ようやく3度目に無事行われました。

手術室からICUに移ってきたまおを出迎えた私たちは、またひと晩つきっきりでした。
日頃聞き分けのいい娘だけに不憫で、氷を口に入れてあげたり体をさすってやりました。

それからは1度目の手術とおなじように順調に回復…と言いたいところですが、短い期間に2度も開頭手術をしたせいか、傷口がデリケートになりしょっちゅう「痛い」と泣くように。
頭だけではなく、点滴も針を刺す血管が細く、腕を自由に動かせない不自由さも手伝って、彼女の不機嫌の原因になりました。

一度、ベッドから降りようとして点滴の管がベッドの柵に引っかかり、針がずれて自分の血が逆流したことがありました。
たまたま私がトイレに行っていて、病室にはまおが1人きり。
まおはナースコールを自分で押し、
「ちょっと手伝ってくださーい!」
と大声で叫びました。その声は、病室の前にあるトイレにいた私にも聞こえるほどでした。
大慌てで病室に行くと、看護士さんも走ってきたところでした。
点滴が刺さっているところから、血がぼたぼたと垂れ落ち、まおはそれを止めようと自分の腕を懸命にタオルで押さえています。
看護士さんはすぐに処置を始め、点滴の針は抜かれました。
「頑張ったねまおちゃん!よくナースコール押してくれたね!」 
看護士さんは、まおを何度も誉めてくれました。
「まお、ごめん!ママがついていながら…」
そう言う私に、
「ぜーんぜん!ナースコール押したから大丈夫やったで!」
と笑顔のまお。
なにもなくてよかった…。
オレンジジュースを飲みながら、テレビを見てげらげら笑うまおを見ながら、本当に胸をなでおろしました。

けれどその後、点滴をやり直す段になって、まおが断固拒否し始めました。
「痛いー嫌やイヤや」とグズるまお。
言って聞かせて、なだめておだてて。
もやもや病の子どもは泣かせて発作を誘発させてはいけないので、力づくで点滴をしたり傷口の消毒をすることは出来ません。
「消毒しないと、バイキン入って感染症っていう恐い病気になるねんよ」
「嫌や」
「点滴をしないと、身体が元気にならへんよ」
「嫌や」
「嫌でもしなあかん」
「嫌やー痛いから嫌やー」
ベッドに潜り込むまお。

我慢強いまおがここまでグズるとは、よほど痛いのか…。それとも甘えてるのか。
私は困りつつありながらも、まおが大人に遠慮せずに駄々をこねる姿が、嬉しくて仕方ありませんでした。
病気がはじめてわかった時、しどろもどろで手術の話をした私に
「手術がんばるわ!」
と笑ったまお。
入院を見送る祖父母に、ピースサインを出して笑ったまお。
看護士さんや東保先生に「調子はどう」と聞かれるたび
「いいです!」と答えるまお。
やりやすい子どもだけれど、小さな小さな8歳の女の子が、いつも元気で笑顔でいなくちゃいけないと、感じてるんだとしたら…

やっと駄々をこねるようになったまおは、
「ママがかわりに針チクッしてきて」
「パパに電話して」
「消毒の前に本読んで」
と、次々に注文を出しました。
甘やかす訳じゃないけど、今までイイコで頑張って来たんやもん。 
時には叱り飛ばしながらも、まおの言いぶんは出来るだけ応えてやるようにしました。

「点滴せーへんかったら、どうなるん?」
就寝時間まぎわ、まおが小さな声で聞きました。
「そうやなあ。栄養が身体に入らないから、元気が出ないんちゃう」
「…じゃあ、しようかな。」
「出来る?東保先生に言ってくるわ」

ナースステーションには、当直の看護士さんが1人。
まおが点滴をするって言ってます、と伝えると
「まおちゃん、えらいわ。すぐ先生に言いますね!」
と、階下にいる先生に内線をかけました。
東保先生の自宅は別にあるのですが、患者の容態の変化にすぐに対処できるようにと、ほとんど医院で寝泊まりされていました。
 
「まおちゃん、点滴するって?」
すぐに病室に来られた東保先生。
「うん」
諦めたように手を差し出すまお。
視野を確認、血圧測定、脈を診たあと
「もういいわ、点滴しなくても。その代わり、ご飯はいっぱい食べてや。おかずもやで」
「ほんま?うん!食べる!」
まおは本当に嬉しそうに笑いました。
「良かったねえまおちゃん!」
まおが点滴を渋った時、叱った私に
「お母さん、まおちゃんいつもいっぱい頑張ってるから、ちょっと休憩させてあげよ。頑張らせてばっかりじゃ、かわいそうや」
と言ってくれた看護士さんも、まおの肩を抱いて喜んでくれました。

翌日から、食べるのが遅いまおはそれでも一生懸命、病院から出る食事を食べました。
ヨーグルトや果物、あんぱんも買ってきては食べさせました。
パパが付き添いを数時間代わってくれて、私が自宅に戻った時には、鶏肉を甘辛く炊いたものや混ぜご飯を作って、病院にとんぼ返りして食べさせました。

号泣の抜糸も終わり、平成14年12月クリスマス直前、まおは予定通り退院することができました。
小学1年生のまおは、この時点で学校の授業を受けたのは2学期でほんの2ヶ月ほど。
病室でも勉強をしていましたが、やはり体調が優先でしたので、できない日も多くありました。

学校側の対応も、書きたいと思います。

続きます。
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